国家規格としての安全基準へ

JIS A 4722

歩行者用自動ドアセットー安全性

自動ドアの「安全」に関する
国の標準が新しく制定されました

2017年3月、自動ドア全般にわたる安全規格JIS A 4722(歩行者用自動ドアセット-安全性)が制定されました。この安全規格は、高齢者や子ども、お身体の不自由な方に配慮した安全思想と、設計段階からの安全に対する工夫と配慮により、これまで以上に、すべての人が安心して自動ドアをご利用いただくことを目的としております。
この規格に準拠した安全対策を講じることで、建物所有者・管理者の皆様は利用者に対して自動ドアの安全性を提供するだけでなく、社会的な信頼を獲得することに寄与します。

業界基準から、国の安全標準へ

これまでも回転ドアの安全性に関してはJISが制定されておりましたが、広く使用されている引き戸タイプの自動ドアには、業界団体による安全ガイドラインしかありませんでした。
今回、歩行者用の自動ドア全般を対象としたJIS A 4722が「国の安全規格」として制定されました。これにより、メーカー・設計者から建物所有者まで各関係主体が取り組むべき内容が明確化され、すべての人が安全に安心して自動ドアをご利用いただけるようになることが期待されます。

国際規格・欧州規格を参考

日本の工業規格であるJISですが、グローバル化が進む社会の中では国際規格と整合させることが求められます。
今回制定されたJIS A 4722も、安全要求の厳しい欧州のEN規格をはじめとする世界各国の安全規格を参考に、日本特有の事情を反映させる形で制定されました。

超高齢社会への対応

これまでも、通行者の安全性向上のため、全国自動ドア協会が独自に作成した『自動ドア安全ガイドライン』の普及の取り組みにより、自動ドアの事故件数は減少傾向にありますが、超高齢社会を迎え、下記のような「思いがけない事故」も発生しており、従来以上の安全対策が求められております。

思いがけない事故例【病院にて】

高齢者(70歳位)が、自動ドアのFIX部に手をついて送迎用車を待っていたところ、第三者が駐車場側から来たことでドアが開き、ドアに接触して転倒、大腿骨を骨折した。

求められる世界水準のバリアフリー化

内閣府より「ユニバーサルデザイン2020年行動計画」として、東京オリンピック・パラリンピック大会を契機とし、開催地だけではなく全国的なユニバーサルデザインの街づくり、世界水準のバリアフリー化推進が要請されております。
自動ドアにおいても、日本に来訪される様々な方々が安全・安心で「快適」にご利用していただけるように、国際規格・欧州規格等を参考にしたJIS A 4722にて要求される安全対策を実施していくことが必要です。

JIS A 4722の適用範囲

Adaptation range

対象となる自動ドア

日本で使用される自動ドアの大多数は引き戸ですが、
引き戸以外にも電気で駆動する以下の歩行者用自動ドアが対象となります。

  • 引き戸

    引き戸

  • 開き戸

    開き戸

  • 回転ドア

    回転ドア

  • 折り戸

    折り戸

  • バランスドア

    バランスドア

適用される範囲

製品開発から現場設計、施工、保全点検にいたるまですべてのプロセスが適用範囲になります。
自動ドアの供給者(製造者・販売者・施工者)は、JIS A 4722の要求事項を満たした駆動装置やセンサーなどを用いて、歩行者の行動特性や不注意などによって起こりえる状況を十分に理解した上で、歩行者の安全確保のための諸対策を行います。建物管理者(施主)は、日常点検ならびに専門業者による保全点検を実施し、JIS A 4722の要求事項を満たした性能・状態を維持することが求められています。関係する主体者がそれぞれの段階において安全対策を講じていく必要があります。

  • 製品開発・製造
  • 現場計画・施工
  • 維持管理
  • 製品設計
  • 製品評価
  • 製 造
  • 製品技術情報
  • 現場設計
  • 施 工
  • 完工検査
  • 定期検査
  • 保 全

JIS A 4722要求事項を満たすための
自動ドアの安全対策<引き戸>

Safety measures

安全対策 1

ドアが開く時の安全対策

安全対策 2

ドアが閉じる時の安全対策

安全対策 3

共通の安全対策

戸の形状/ガラス

戸の形状/ガラス

自動ドア装置/センサー

自動ドア装置/センサー

案内および警告表示

案内および警告表示

保全点検/記録

保全点検/記録

安全対策チェックシート

ドアが開く時の安全対策
戸袋側での
挟まれ・衝突防止
危険な箇所を囲む(ガード) ガードスクリーンの設置 a~gの
いずれかを
選択
防護柵の設置
安全なすき間をあける(安全距離) 安全距離の確保(たて枠との距離)
安全距離の確保(側壁との距離)
制御による対策(ドアの速度) 応用 安全距離+低エネルギー作動
距離+ドアの力を制限
低エネルギー作動
センサー(保護装置)による対策 戸袋(開保護)センサーの設置
引き込まれ・
指挟み防止
安全なすき間をあける(引き込まれ) 戸の向かい合う面のデザイン、安全距離
安全なすき間をあける(指挟み) 安全距離の確保

選択に関する注意事項あり

ドアが閉じる時の安全対策
開口部側での
挟まれ・衝突防止
センサーによる対策(保護領域の確保) 反射型光線センサー設置 a・bの
いずれかを
選択
補助光電センサー設置
制御による対策(ドアの速度) 低エネルギー作動
かけこみ等による
ドア衝突防止
センサーによる対策(起動検出) センサー起動検出範囲の確保
センサーによる対策(タッチスイッチ仕様) 併用センサーの設置

選択に関する注意事項あり

共通の安全対策
ドアセット材料 戸・枠の形状 ドアや枠に鋭利な端部がない形状とする
ガラス 割れたときに鋭利な破片とならないこと
自動ドア装置 自動ドア装置・検出装置・保護装置 JIS A 4722の要求を満たすこと
手動起動装置の取付高さ 床面より950±50mmの高さに設置
表示 警告表示および案内表示 使用者の注意を促すための表示を行うこと
保全点検 完工検査、保全・点検の実施、記録 安全対策の記録および性能・状態の維持
すべての安全対策ができています!

JIS A 4722対応製品のご紹介

NATRUS

よくあるご質問

FAQ

JIS A 4722はどのような規格ですか?

JISには、ボルトや電池のように形や大きさを統一することで利便性や生産効率を向上させる役割のほかに、標準化をはかることにより利用者の「安全性」を向上させる役割もございます。JIS A 4722は、歩行者用の自動ドアの「安全」に関する「標準」を国で定めたものであり、このJIS A 4722で要求される安全対策が「あたり前」になっていくことにより、国内のどの建物の自動ドアでも、小さなお子様からお年寄り、体の不自由な方まですべての方が安全で安心して利用できるようになることが期待されます。

規格に適合しないことのリスクはありますか?

JISは「規格」なので法規等で引用されていなければ強制力はありません。しかしながら、JIS A 4722は自動ドアの「安全の標準=最低限守るべきライン」を国家規格として定めたものであるため、ソフトロー(※)として、製造者・設計者・施工者から建物管理者までこれから広く採用されていくようになります。
JISに適合していない(=JISで定める安全要求を満たしていない)自動ドアで、万が一事故が発生した際には、建物所有者側の安全性配慮に過失があったものとして責任を問われる可能性がございます。

※ソフト・ロー(soft law):権力による強制力は持たないが、違反すると経済的、道義的な不利を国家・自治体・企業・個人にもたらす規範。JIS規格・JAS規格、その他各種の基準など。【出典|デジタル大辞泉(小学館)】

JIS制定前に設置した自動ドアにも遡及するのですか?

「規格」自体には過去遡及すると言った考え方がございません。JIS A 4722は自動ドアの「安全」に関する規格のため、建物を訪れるすべての方が安全に安心して自動ドアをご利用いただけるように、既設の自動ドアにおいても、JISで要求される安全対策に適合させることをお勧めいたします。

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