プロジェクトストーリー Project Story

東京駅直結の大規模複合ビル
社会構造が急激に変化する中、
成し遂げた超大型プロジェクト

2023年3月、大規模再開発が進む東京駅前・八重洲エリアに、オフィス・商業ゾーン・ホテル・バスターミナル・小学校などを擁する大規模複合ビル「東京ミッドタウン八重洲」がグランドオープンしました。東京駅と直結する地下3階・地上45階のこのビルには、508台ものNABCO自動ドアが使用されています。ナブコシステムの長い歴史においても、かつてない規模の建設プロジェクトに参画するにあたり、当時の社員たちは、どのような想いを抱き、協力し合いながら取り組んだのか。その軌跡をご紹介します。

プロジェクトメンバー

  • 飯田

    経営企画室/新規営業

  • 菊地

    東関東支店/新規営業

  • 長手

    設計部/設計

  • 今泉

    柏営業所/設計

  • 田中

    工事課/工事

  • 坂井

    工事課/工事

  • 鈴木

    郡山支店/メンテナンス営業

  • 福田

    工事課/工事

信頼とチャンスが交差した受注への道のり

2017年秋、当時東京営業本部にて大手ゼネコンの営業責任者を務めていた飯田は、みずから収集したさまざまな情報をもとに、「東京ミッドタウン八重洲」の案件受注に向けた営業活動を開始しました。このプロジェクトの受注は、自動ドアのトップシェアを誇るナブコシステムにとって悲願であり、同時に壮大な挑戦でもありました。

飯田は当時の想いをこう語ります。「当初の予定では自動ドア238台を設置する超大型案件であり、ナブコシステムの営業としては、どうしても受注したいプロジェクトでした。しかも、数年後には両隣に大型ビル2棟の建設も予定されていたので、本物件の受注で信用が得られれば、次の受注にもつながるかもしれない。会社としてのはずみになれば、という強い想いで営業活動をしていました。その一方で、決して失注はできない想いもあり、まさに背水の陣で取り組んでいましたね。」

幸いなことに、営業活動を進める中で、契約先であるゼネコンの発注業務担当者が、過去に何度も仕事を共にした人物であることが判明しました。この発注業務担当者こそ、本プロジェクトにおける「キーマン」です。
早期からの交渉に加え、ナブコシステムの技術力と実績、そして業務を通じて飯田が培ってきた厚い信頼が追い風となり、この大規模プロジェクトを受注することができたのです。

一方、飯田のサポートとしてプロジェクトに参加していた新規営業の菊地は、工事提案書の作成や顧客挨拶に同行。当初はサポート的な役割でしたが、2021年から担当を引き継ぐことになりました。
「このプロジェクトに対する飯田さんの想いを肌で感じていましたので、業務を引き継ぐことになった時には正直プレッシャーもありました。同時に、なんとしてもこのプロジェクトを無事に完了させるという想いが湧き上がったことを覚えています」と菊地は言います。

かつてない大規模プロジェクトの受注には成功しましたが、これはまだスタート地点に過ぎません。建設プロジェクト完成・施設オープンというゴールに向かって走り続ける、長い闘いがここから始まりました。

受注後、予期せぬ変更にも柔軟に対応

2018年12月、「東京ミッドタウン八重洲」の工事がスタート。ナブコシステムでは、設計担当や工事担当などプロジェクトメンバーが選抜され、大規模プロジェクトに向けた準備が進められていきました。

「ひとつの建物に200台を超える自動ドアを設置する案件は、これまでに経験のないものでした。もちろん不安がなかったわけではありませんが、逆にやりがいを感じられる現場だと意気込んでいましたね。」と語るのは設計担当の長手。
しかし、建設途中である2020年、新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴った新たな働き方への対応により設置台数と仕様に大きな変更が出ました。感染症対策として手動ドアを非接触での開閉が可能な自動ドアにするという変更をはじめ、自動ドア250台が追加となりました。

このタイミングで長手と共に設計を担当することになったのが、他拠点から異動してきたばかりの若手社員・今泉です。
「工事の途中で、バリアフリートイレのスイッチがタッチレスに仕様変更となりました。これは製品カタログに載っていないものだったため、ゼネコンの担当者などに説明をして承諾をもらうのが大変だった記憶があります。ただ、責任ある仕事を任されている喜びも感じました。」と語る今泉。

新築物件の工事では、建設途中で仕様が変更となるケースは多々ありますが、この大規模プロジェクトでは、かつてない規模での変更となりました。この変更を受け、長手は「最終的に倍以上の台数を設置することになったり、感染症対策としてタッチレス化を実現しなければいけなくなったり、途中からは『なんとかするしかない』という気持ちで乗り切りました。」と語ります。
想定を超える変更や厳しい条件にも向き合いながら、お客さまの求めるものを安全に、そして確実に形にしていく。その力は一朝一夕では身につきません。日々の積み重ねが信頼に足る対応力や責任感につながっているのです。

困難を乗り越え、1年にわたる工事を無事に完了

前例のない規模での仕様変更や自動ドアの設置台数の追加は、工事にも大きな影響を与えることとなりました。

工事担当の田中は当時の様子をこう振り返ります。
「私が現場に入ったのは2021年の3月でした。ちょうどこの時期に新型コロナウイルスの感染拡大により、中国のロックダウンに影響を受けた部品の供給停滞が発生してしまいました。なかなか工事に着手できないもどかしさを感じながらも、できることから進めていきました。同じ現場にいる一緒に工事を進める他の工事業者と進行状況に関する情報交換をしながら作業をしていったのですが、そのコミュニケーションがなければスケジュール通りに工事を行うのは難しかったと思います。大きな現場では社内外問わず多くの方々との協力が必要不可欠であることを改めて感じました。」
大きな現場だからこそ、多くの工事関係者とコミュニケーションを適切にとることが大事であり、それが円滑な工程進行につながったといいます。

また、同じく工事担当の坂井は、このような困難な状況下でありながらスケジュール通りに作業を終えられたポイントをこう語ります。
「現場で問題が発生した際に、これは設計に相談しよう、これは施工管理に相談しようなど、社内のコミュニケーションを密に取れていたことが、円滑に工事を進められたポイントだと思っています。また、実際の作業を行うのは私たちですが、上司が全てチェックしてくれますし、仕事量を判断して人員配置をするなど、しっかりサポートしてもらえたことで安心して作業を進められました。」
各部署が責任感をもって自分たちの仕事に対応していたのはもちろんですが、ナブコシステムならではの部署の枠を超えた強いつながりと対応力が、現場の社員たちを支える原動力となっていました。こうして2018年12月にスタートした工事は、約4年を掛けて無事完了しました。

完成後も安全・快適を守り続けるメンテナンス

ナブコシステムの業務は自動ドアの設置だけではありません。取り付けた自動ドアを安全に運用するための定期的なメンテナンス、それもまたナブコシステムの重要な使命のひとつです。かつてない約500台ものメンテナンス作業の契約内容について交渉を行った、メンテナンス営業担当の鈴木は、当時の様子をこう語ります。

「東京ミッドタウン八重洲はオフィスやホテルなど建物内のエリアごとに管理を担当している企業・部署が分かれていました。そのため、それぞれの管理担当者を確認し、コミュニケーションをとりつつ、契約内容を調整する点において苦労する部分はありました。本契約では、メンテナンスを年2回実施する内容にて締結となりましたが、一度に500台ものメンテナンスはできません。そのため、半年間かけて対応する契約とさせていただきました。」

その契約をもとに、実際のメンテナンス作業を実施しているのが、メンテナンス担当の福田です。東京ミッドタウン八重洲は多くの施設利用者がいるため、安全確保と作業効率化のために、メンテナンス実施場所と時間帯をリスト化し、1日に何台のメンテナンスを行えるか精査したリストをもとに顧客とスケジュールを調整したといいます。
「イレギュラーによってスケジュールが変更となるケースもありますし、テナントが入れ替わるごとに点検の時間帯も変更しなければいけないので、柔軟な対応が必要となります。ただ、これから10年、20年と続いていく案件ですから、変更のたびに応援部隊を用意するのではなく、現状のスタッフ数で対応できるよう工夫しています。実際、自分で組んだ段取り通りにメンテナンス作業が終了した時には、安堵感と達成感が得られますね」と語る福田。

今回のような大規模複合ビルでの長期的な運用では、顧客の状況に合わせながら効率的に作業を進めるための細やかなスケジュール調整が必要となります。それを実現することによって、自動ドアの安全な利用、人々の“あたりまえの生活”を支えていくのです。

強い想いが成功のカギ、困難を乗り越えて成長を続けていく

築きあげてきた信頼をもとにスタートを切った「東京ミッドタウン八重洲」建設プロジェクト。かつてない大規模プロジェクトでありながら、急速な社会構造の変化による幾つもの困難な状況を乗り越えてきたプロジェクトメンバー。この困難を可能にした理由を、メンバーは口を揃えて「成功ヘと導く強い想い」にあるといいます。この想いこそ、ナブコシステムが創業から引き継いできた社員のDNAであり、約70年にわたって積み上げてきた実績と信頼の根源なのです。今後も社員と会社が一丸となって、実績と経験をもとに更なる成長を続けていくことでしょう。

recruitment-description募集要項